奥志賀高原には子供の頃から、スキーや山登りに来ておりました。長年親しんできたこの地でホテル事業を展開する決断をいたしました。建物の設計から建設、調度品や備品の調達、人材の確保など、すべてゼロからのスタートでした。3年の準備、建築期間を経て、1994年に開業いたしました。

目標は、“お越し下さるお客様もお迎えする従業員も喜びを感じるリゾート・ホテル”。つまり、標高1,500ｍの高原という立地を活かして、その自然の素晴らしさをゆっくりと味わっていただくためのホテルをめざしたのです。

5年間のスイスでの滞在中に数多くのリゾートホテルに泊まり、良質のホテルを見極めました。それをベースにヨーロッパのリゾートホテルにもひけをとらず、なおかつヨーロッパにはない、オリジナリティをもったホテルを建てることにした次第です。

まず建物は、周囲の自然を損なわず、冬の積雪にも対応する外装にしました。建築材は世界各地から調達し、職人も招いて施工に加わってもらいました。

そして、サービス（ホスピタリティ）を担う人材の育成は、開業以来ずっと、今日も続けております。ホテルの良し悪しを決定するのは、スタッフであるからです。「人間は遺伝子によって決まるものではない。情報と環境によって決まる」というのが追求してきた私のフィロソフィーなのです。これをベースにスタッフの育成に努めております。当地は自然の素晴らしさ、厳しさを体験するには理想的な環境です。ですから、冬の雪おろしは、全員で行ないます。料理人もフロント係も、です。

一方、サービスのプロとしての向上をめざすために、若いスタッフを対象に一流ホテルでの体験宿泊などを行なっています。いくらインターネットが進歩しても、自分が身をもって体験して得る“生の情報”には敵いませんから。私どものスタッフにも、できるだけ多くの経験を積み、可能性にチャレンジしてほしいと思うのです。スタッフの一人ひとりが豊かな人生を生きること。それこそがお客様へのよりよいサービスを生み出すのだと、心底思うのです。

おかげさまでザガットサーベイ長野版において「ルーム部門」、「施設部門」にて1位、「サービス部門」、「ダイニング部門」を含んだ総合1位をいただく事ができました。